「あの日からの便り」

アルバム『ガラスの動物園』が、甲斐がアマ時代から付き合ってた彼女のためのアルバムなら、いきなり達観し、当時の想いを美化して書いたような曲で、それこそ福岡という地方都市と東京という大都会の微妙な距離感を念頭にものなんじゃないのかと思った。
ライブアルバム『サーカス&サーカス』で「7月の便り」として収録されているのはこの曲で、歌い出しのところがそのまま何故かタイトルにされてしまってる。

演奏とかアレンジ、間奏のギターワークにロックとしてのエッセンスがあるのかもしれないけれど、印象としては郷愁感のある立派なフォークソングというイメージが強い。
甲斐バンド初期では、こういう曲がそこかしこと転がってるけど、ロックを志向してフォークを貶していた割にはこういうフォーク臭たっぷりの曲があったりする。
個人的には『英雄と悪漢』のイメージが甲斐バンドのスタートという具合に思っていたから、この曲のようなものは良いと悪いとに関わらず、甲斐バンドという枠には入ってこない。
郷愁と童謡が結びついちゃった感じがして、甲斐のやろうとした方向にハマらないんだよな。