嘘-たわごと

懐かしき甲斐バンド、甲斐よしひろを振り返りながら、時を思う

裏切りの街角

あの頃~裏切りの街角5

「裏切りの街角」


1975年の夏頃、休みの日に不意に見たTV番組でこの曲を歌っていた姿を見たのが、初めての甲斐バンド体験だったことを思い出す。
ヤングミュージックショーだったかどうか番組名は定かじゃないけど、まだ歌謡曲が多く披露され意識されていた時代。
この曲とそれを演奏し、歌う甲斐バンドは一味違っていた。
まだロックなどと言うことは分からなかったけど、歌謡曲でもなく流行り始めたフォークでもない。
浮いたところがなく、イントロ自体に演歌の匂いを感じ、初めてなのに食い入るようにTVを見て聞いていた。
これが甲斐バンド初のヒットとなったけれど、後年、甲斐バンドを聴くようになり、辿るようにこの曲にたどり着いてみると、甲斐よしひろバンドが甲斐バンドになった曲だと気づくまでに時間はかからなかった。

雨雨にけむる街並みを 息をきらして駆けつづけた
つきささる吐息をはいて 駅への道駆け続けた

わかってたよ俺らじゃだめさ でも二人生きてきたんだ
ときれた電話は生きてゆく 悲しさに泣く君の声

しとしと五月雨 わだかまり 君さえいてくれたならば
走る車は泥にたたかれ 見上げた時街が泣いていた

とぎれとぎれに靴音が 駅の階段に響いてる
楽しく過ぎてゆく人ごみ キップを握った君がいた

わかったよどこでも行けばいい 俺らをふりきって汽車の中
おもわず叩くガラス窓 君は震え顔をそむけた

しとしと五月雨 またひとつ ネオンが夜にとけてく
たよりない心傷つけて 裏切りの街角過ぎてきた

しとしと五月雨 プラットホームを 今思い出がしみだす
発車のベル叫び声の中 あの人が見えなくなった

(作詞作曲:甲斐よしひろ)





和製ロック~その65



甲斐バンドは、最初から甲斐バンドだったわけじゃない。
甲斐がプロ契約を結ぼうとした時、甲斐からバンドを組みたいというも申し出があってプロダクションがそれに答えた形だった。
デビュー当初は、甲斐バンドというよりは甲斐よしひろバンドといった方が正解だったかもしれない。
曲なり演奏なりでどう自己表現をしていいのか分かっていなかったかもしれない。
デビューシングルとファーストアルバム制作については、ほとんど言いなりだったという。
でもそれが自分たちがやらなくちゃいけない音楽の方向性に気づかされたかもしれない。
だから、そこで妥協しないスタイルが生まれていた。
これもロックの一面であったはず。
当時はまだ演歌と歌謡曲が旺盛の時代でもあり、その影響を受けていないはずがなかった。
甲斐が必死に曲を書き上げ、メンバーが必死に演奏するその中には、演歌と歌謡曲のエッセンスがありながら自分たちの独特のスタイルを盛り込む必要があったのだけれど、そのことにバンドメンバーは気づいていなかったかもしれない。
こうして出来上がった「裏切りの街角」には、甲斐バンド独特のエッセンスが生まれており、甲斐が言う甲斐バンドが甲斐バンド足りえた曲が出来上がっていた。
一つの独特なジャンルを生むというのは、こうしたことだったかもしれないけど、ようやく甲斐バンドとしてのスタートを切った曲だったかもしれない。
その後も甲斐ンド足りえるために歩む道のりでは、時に甲斐バンドであり甲斐よしひろバンドであったりもしたけれど、独自性が徐々に歩み始めていた。

ロックを演じるミュージシャンもちほら見受けられるようにはなったけど、きちんと日本語でうねりを持ったジャンルができるのは、まだ10年以上の歳月が必要だったけど、それも追及する突き詰めて妥協を許さないスタイルは並大抵ではなく、密度の濃い時間だったはずだ。





スタジオとライブ~裏切りの街角5


演歌の要素も入り込んだこの曲は、甲斐の広い裾野にあったエッセンスが散りばめられていたような気がする。
人に言われるまま吹き込むことに集中して出来上がったファーストアルバムを作り上げた後、自分たちらしさを表現しようとしたことで出来上がった曲だった。
甲斐の甲斐らしさが顕著に出ていた曲だったと思うよ。

演歌の要素が入り込んでいたことが琴線に触れていたのか、イントロのギターが印象的だったのか、甲斐バンド初のヒット曲はロングセラーとなっていた。
曲を作るにあたり、繊細なところまでこだわって吹き込んだこの曲は、ライブよりセカンドアルバムに吹き込まれていたスタジオ録音の方がいい印象があった。
ライブバンドであった甲斐バンドの中では、しかもアレンジとレコード収録技術が求めていたものとはまだかけ離れていたこの当時、珍しい曲だったと思う。

今でも時折ライブで演奏されるこの曲、ライブよりもセカンドアルバムに収録されて方に思いは行くなあ。



おいしさと、食べる喜びを、食のそよ風にのせて【食のそよ風】

レコードジャケット~「裏切りの街角」4

裏切りの街角


甲斐バンドセカンドシングルが「裏切りの街角」だった。

この曲が出た当時、ボクはまだ中二で、音楽業界とか芸能界とかそういうところにはほとんど興味がなかった。
たまの休みの日中、昼飯を終えてなんとなくTVを見ていたら、顎をしゃくるよに白いシャツ来て、懸命に歌ってたグループが目についた。
アイドル音楽番組だったと思うけど、当時は雑多な音楽と今でいうバラエティ番組が多かった。
ほとんどが、歌謡曲とフォーク、そして演歌の歌手たち。
そうした番組で初めて甲斐バンドを見た。
いや、甲斐バンドとは知らずに見ていて、何故か今でもその当時の模様は脳裏に残っている。

その時歌われていたのが「裏切りの街角」。
そのスタイルはフォークのようで歌謡曲ではない、だけどはっきりフォークといってしまうには違うような感覚を持っていた。
どこか演歌みたいだな、というのが素直な感想だった。

彼らは彼らなりに必死な状況だったんだろうな。
それは甲斐バンドと知らずに見ていても感じるものがあった。
甲斐バンドが甲斐バンド足りえた初めての曲、それが「裏切りの街角」だったんだろう。

シングルが発表されていきなりという展開ではなく、オリコンでベスト10入りするまで4か月もかかっていた。
最高位7位だったかな。
優先で売れていたとは聞いていたけど、結構なロングセラーとなっていた。

デビューは自分たちのスタイルが出ていなかった。
そこから「裏切りの街角」にくるまでは、長いトンネルの中でようやくその扉を開けた、そんなイメージがレコードジャケットとして現れていたような気がしてる。







たわごと~裏切りの街角4

裏切りの街角

「裏切りの街角」

今時の改札は便利になったけど、物語のキーワードになったりしない妙義の薄さがある。
切符の一枚一枚に鋏を入れてた時代は、改札口の手前と向こう側で様々な想いが渦巻いてた。
だから、改札はその間に挟まる重要なキーワードになっていた。
改札手前の想いは、改札の向こう側でその思い通りになるとは限らず、だから傍目で見れば面白味があった。
こうしてみると、何事も便利になればいいと言うものじゃないらしい。

この曲の“切符”とか‟プラットホーム”という言葉を聞くと、そんなことを思い出す。
そこに五月雨なんて、今の時代では考えられそうもない言葉がまとわりついてくる。
確かにこの曲には味があった。
昭和という時代の味わい深い味で、今聞くと古さもあるけど、キチンと物語を織りなす言葉がリズムよく並べられている。
甲斐バンドもセカンドアルバムというより、セカンドシングルでその存在感、立ち位置がしっかり出てきたという意味では重要な曲だったんだろうと思う。
この曲が書けたことで、これから進もうという道も見えてきて、そういう曲がまるで演歌のようにロングセラーとなったところに甲斐バンドがやろうとしたロックという意味が見え隠れしてる。

BIGGIGに参戦した時、会場の同じブロックで知り合った女性が同郷ということもあってしばらくの間、いい友人関係を築けたことがあった。
その女性がとにかくこの曲が好きで、、、いろんなウンチクを聞かせてもらった思い出もある。
あの女性、結婚と同時にその付き合いもプッツリしてしまったけど、今頃どこでどうしてるんだろうな。






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