嘘-たわごと

懐かしき甲斐バンド、甲斐よしひろを振り返りながら、時を思う

甲斐バンドストーリー

あの頃~甲斐バンドストーリー5

甲斐バンドストーリー

「甲斐バンドストーリー」

HERO(ヒーローになる時、それは今)
きんぽうげ
ガラスの動物園のテーマ
らせん階段
ポップコーンをほおばって
ダニーボーイに耳をふさいで (別ミックス)

Side-B
裏切りの街角
かりそめのスウィング
メモリー・グラス (別ミックス)
氷のくちびる (別テイク)
テレフォン・ノイローゼ

回バンドの名を認識したのは「HERO」だった。
あれだけ元旦にポスターやら曲が流れれば、いやでも目にするバンド名だった。
「裏切りの街角」や「氷のくちびる」は意識することなく、曲が印象に残ったものだったけど、はっきり意識したのは「HERO」が収録された当時の初のベスト盤「甲斐バンドストーリー」だった。
このアルバムが出た1979年、まだ高校生だったけど、その時の学校の数学の教師が甲斐バンドファンで、毎日授業の始まりでその名を聞かされたのは覚えてるね。
その声に順応したわけではなかったけど、逆に反発するようにアルバムで「HERO」を聞いてやるという想いだった。
こっちはまだファンまで行ってなくて、どちらかと言えばフォーク系を聴いていたけど、それとは異なるもう一つの世界に触れた気分だった。
フォークでも歌謡曲の世界でもない違和感が残った。
このアルバムについては、甲斐バンドのそれまでの曲とかアルバムを消化してないと、物足りなさが残ると思うけれど、後年改めて触れると唸るものが残った。
甲斐らしいこだわりが曲にもサウンド、アレンジにもしっかり残りつつ、まだ満足してないだろうという想いが強く残ったものだった。





あの頃~メモリー・グラス4

「メモリー・グラス」

今日も私の中に夜がきて 窓うつ雨音に耳をふさぐ
あの街角で手を振りほどき
こんな雨の中あの人はかけだしたんだ

立ちすくんだまま後も追えず 行きかう人に笑われながら
愛した痛みをかみしめて
突きささる雨の中でただ泣いていた

メモリーグラス
裏切りと涙でこがした夜を
メモリーグラス
一杯の酒で流せるはずはないけど

誰かが背中で想い出っていう 泣きたいほどの歌を口ずさむ
あれはとぎれた糸をたぐり寄す
そんなばかな私の細い指先

別れていく前の最後の電話 だけどあの人はもう来ない
時計台の針は私を
突きさしたまま別れに時を打つ

メモリーグラス
裏切りと涙でこがした夜を
メモリーグラス
一杯の酒で流せるはずはないけど

私の嘘もわがままも いつも許してくれたあの人は
今日は振りむきもせず
黒い季節の中を去っていくだけ

メモリーグラス
裏切りと涙でこがした夜を
メモリーグラス
一杯の酒で流せるはずはないけど

メモリーグラス
メモリーグラス
……

シングル「氷のくちびる」のB面に収録されていたこの曲。
この曲がは票された1977年、自分はまだ中学生であり、甲斐の聴き手でもなかったため、後に発のベスト盤となった「甲斐バンドストーリー」に収録されていなければ知る由もなかった。
また、世間では後年同名異曲がヒットしていたこともあって、そっちに気を取られていた。
この曲は悲哀の曲だけど、甲斐にしては珍しく女の位置に立って書かれた曲だった。
当時中高生の自分に恋愛を女の位置から見るなどということは知ろうともせず、恋愛解釈もいろんな立場があるんだなと後年思わされた想いがあるね。

大人の世界の入り口に立った感傷、それがこの曲にはあった。





あの頃~ダニーボーイに耳をふさいで5

「ダニーボーイに耳をふさいで」

突然君が去った時から 始まったからっぽの日々
この街は風がいっぱい 君の香りがいっぱい
最後の手を振る雨の十字路 ふるえる背中見送った時
いつも君が唄ってた あの歌が聞こえてきた
いつものように灯りを消して
いつものようにドアを閉ざして
君との昨日に鍵をおろした 冷たいあの日

いつか切りすぎた君の髪が 雨になって降りそそぐ
思い出という傘をやぶって 僕の肩に降りそそぐ
いるはずもない君の声が 二人生きた日を呼びおこす
すがるようにからみつく ダニーボーイに耳をふさいで
いつものように灯りを消して
いつものようにドアを閉ざして
君との昨日に鍵をおろした 冷たいあの日

いくつかの ああ喜びと いくつかの ああ苦しみが
街角のショーウィンドゥに 浮かんでは消えた

(作詞作曲:甲斐よしひろ)

1976年というとバンドデビューからまだ2年とちょっとの時期。
大人になりかけの少年が、あたかも大人の世界に顔を突っ込み、過去を吹っ切るように振り返って悲劇のようにそれを物語ったような曲だった。
まだ高校生にもなっていなかった自分だったけど、甲斐バンドの何をも知らず、それでも不意にラジオから流れてきたこの曲が気になっていた時があった。
自分が甲斐バンドを認識したのは「HERO」であり、ファンとなったのは1980年打になってからだけど、こういう曲や「裏切りの街角」、それに「氷のくちびる」という曲に聞き耳が立ったのは後年バンドに夢中になる要素があったのかもしれない。
詞の紡ぎ方やアンダーなメロディ、テンポの取り方などどれをとってもデビュー2年目の若者らしくない名曲だったんだと感じたけど、この曲が初のベストアルバムに収録されたのも作り手に手応えがあったからだと思うんだ。






あの頃~HERO(ヒーローになる時、それは今)5

「HERO(ヒーローになる時、それは今)」


この曲が出た1978年、自分はまだ高校生で夜のTVは禁止されていた。
受験生だったし、高校最終年を目の前にしてTVどころではなかった。
それでも、この曲でチャート1位になり、バンドがTVに出ないことは田舎でも話題になってた。
唯一、NHKのスタジオにTVカメラが入ってバンド出演した時だけは見ていた。
開けて翌年。
その年の正月、街はバンドだらけになっていた。

ダーティというかアンダーというイメージが強いという勝手なイメージが先行していたからこの曲は驚きだった。
アレンジこそ歌謡曲のようではあったもののリズム良く、今がすぐに過去となってしまうその疾走感を歌っていたところに説得感があった。
そうか疾走感か、そんな想いをもって1979年を迎えていたことが妙に記憶に残っていた。

HEROになる時 (AH-AH-)それは今
HERO ひきさかれた夜に おまえを離しはしない

生きていることは一夜かぎりのワン・ナイト・ショー 矢のように走る時の間で踊ることさ
今夜お前はヒロインもう泣かさないよ この魂のすべてでお前を愛してるさ
銀幕の中泣き顔のジェームスディーンのように 今が過去になる前に俺たち走りだそう だから

HEROになる時 (AH-AH-)それは今
HERO ひきさかれた夜に おまえを離しはしない

人生はいつも路上のカクテル・パーティー ひとつ踊れば熱い思いも消えてゆく
今夜 お前はヒロインもう泣かないで 息がつまるほどに愛の痛み感じてくれ
銀幕の中やせっぽちの俺たちが見えるだろう 今が過去になる前に明日へ走りだそう だから

HEROになる時 (AH-AH-)それは今
HERO ひきさかれた夜に おまえを離しはしない

HERO 空はひびわれ HERO 太陽は燃えつき HERO 海は枯れ果てて 月はくだけちっても

HEROになる時 (AH-AH-)それは今
HERO ひきさかれた夜に おまえを離しはしない

HERO HERO HERO…

(作詞作曲:甲斐よしひろ)







もう一つの主役~メモリー・グラス3

「メモリー・グラス」

この曲は1977年発表のシングル「氷のくちびる」のB面に収められていた曲。

「メモリーグラス」というと1980年代にヒットした堀江淳の曲に思いが行きそうだけど、甲斐の曲はその前で、甲斐バンドとしては結構珍しいアレンジの曲だった。
アルバムには収められておらず、ベスト盤『甲斐バンドストーリー』がなければ見逃していた曲になっていたかもしれない。

「氷のくちびる」自体がかなり歌謡曲のようにアレンジされていたことと無関係ではないだろう。
愁いを秘めたような曲調は、そのアレンジがちょっと残念のような気もしたけど、こうした局長はそれまでなかったはずだ。
シングルと『甲斐バンドストーリー』のアレンジは違っていて、後者の方がロックという感じが持てたけど、歌謡曲に近づいていた感触は、ヒット曲「HERO」の頃まで続いていた。





たわごと~ベストアルバム『甲斐バンド・ストーリー』5

甲斐バンドストーリー

「甲斐バンド・ストーリー」

甲斐バンド初のベストアルバム。
“HERO”がチャート1位を獲得した直後に発売され、このアルバムも甲斐バンド初のチャート1位になった。まさにタイムリーな発売で、「HERO」がライブを除くアルバムで収録されているのは、ベストアルバム第2弾“Here We Come 4 Sounds”とこのアルバムのみ。

甲斐の選ぶベストと、ファンが選ぶベストは、食い違いを見せることがほとんどだが、ボクはこのアルバムについては選曲に納得していた。
デビューから“HERO”に至るまでの、甲斐バンド初期から中期間もない頃までの変遷を思う時の選曲とするならば、こういうことになったという感じが強いし、きちんとその歩みが踏まえられている。
今現在、ベスト盤を乱発してしまう甲斐バンドと称する別のユニットを組む連中とは別の姿であることは明らかだ。

アルバムジャケットはモノクロだけれど、甲斐の胸に飾られたバラの花が、印象的で、アルバムの存在を象徴していたような気がしてならない。
如何にも甲斐らしいという表現がピタリと来る。
こういうこだわりを持った姿に痺れていたんだと、今更ながら強く思う。


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たわごと~メモリーグラス4

「メモリーグラス」

同名の異なる曲がヒットしたのが1981年だったし、自分が甲斐バンドを聞くようになったのはその後だったから、この曲を知った時はタイトルだけでけっこう混同してた。
でも、この曲が発表されたのは1977年だったから、ヒットした曲よりも前だったということにもなるし、何より高尾の曲にはひ弱さがなくて、芯みたいなものを感じてた。

シングル「氷のくちびる」のB面収録だったということと相まって、共通した悲哀みたいなエッセンスも感じられた。
この曲はとあるアイドル歌手に向けて提供されていたけれど、アレンジはともかく、詞を呼んでるとこれがアイドル歌手への曲なのか、、、と思っていた。

オリジナルアルバムへの収録を想うと、「氷のくちびる」とバッティングしてしまうことも考えられるから、選ばれたのが「氷のくちびる」であって、またもや曲の存在自体が悲哀の感じがする曲だった。
曲のエッセンスと存在が同じようなところにあったのが惹かれるきっかけであり、ベストアルバムに収録されたのは知る人ぞ知るという感じがあって、とにかく有り難かった思いが強かった。






たわごと~ダニーボーイに耳をふさいで5

ダニーボーイに耳をふさいで

「ダニーボーイに耳をふさいで」

ちょっと音楽に興味を持てば、ダニーボーイがアイルランド民謡だということはよく知られていたこと。
幼少のころから父親の影響で、様々な音楽に触れていた甲斐がそういうことを脳裏に刻んでいたとしてもちっともおかしくない。

男女の別れを女の方から見たような民謡だったと思うけど、それは母性から来ていたのかもしれない。
いずれにしても別れに際して、その場面を女の目線で見ていた心情みたいなモチーフを、“耳をふさいで”敢えて分かれてきた場面を悲哀を込めて、男の目線から現したようにも思える。

摩訶不思議なこの曲の詞も、その心情をより深く察するように見ていると、奥深さを感じてしまう。
こういう詞を書けるのは、やっぱり基本が詩人なんだよなあと思ってしまう。
曲調と相まって、どうしても引き込まれるようなこの曲は、甲斐バンド初期の名曲。
ベスト盤『甲斐バンドストーリー』でようやくアルバムに収録されていたけど、とにかくよかったと思う。
甲斐バンドがスタートして、後期から遡る様に聞き込んだとき、このベストアルバムはありがたかった。
そして、この曲に巡り合った時、初期の魅力であった哀愁を浴びることができて、ホッとしたと言うか、より深く引き込まれたような気分になっていった。

うねりというか渦というか、得体の知れなさそうな魅力がこの曲にはあったんだ。





たわごと~HERO(ヒーローになる時、それは今)5

HERO(ヒーローになる時、それは今)

「HERO(ヒーローになる時、それは今)」

あれは次年度に高校2年になる年を迎えようとしていた年の1979年、当然年越しで蕎麦を食べてようとしてた時に年明けとなり、TVの画面にいきなりこの曲が流れると同時に甲斐バンドのメンバーが登場してことにはインパクトがあった。
当時セイコークォーツのCMソングに起用されたこの曲は、そのインパクトも去ることながら実にタイムリーな曲だったと記憶している。

言うまでもなく、甲斐バンド最大のヒット曲となったこのナンバーは、リズムとアレンジもそれまでに見ない良さがあったところ、詞にも随所に見事な比喩表現と甲斐バンドが歩み始めていたテーマが「踏まえられていた。

♪ 今が過去になる前に、俺たち走り出そう ♪

ここを踏まえなくてはこの曲はなかった。
甲斐は広告社に提示された様々なテーマの中から、“ヒーローになる時、それは今”を指して、作りたい世界があると言い、出てきた曲がこの曲だった。
このフレーズに代表されるように、この時のバンドのテーマが疾走感にあったことは明らかで、それはしっかり今を踏みしめながらということなんだろう。

自分がライブに行くようになったのは大学生になってからだし、既にライブのラインナップからは外れていたけど、甲斐バンド解散ツアーPartyで取り上げられていたのが初ライブ体験だった。
それはその時まで、ヒット曲に頼る活動を良しとしなかったバンドの姿勢が表されていたことで、今現在とは180度異なっていた。






たわごと~ダニーボーイに耳をふさいで4

ダニーボーイに耳をふさいで

「ダニーボーイに耳をふさいで」

いくつも恋愛をし、その度に当然のように別れがやってきた。
それを引きずるのは、圧倒的に男が多いというけれど、それはその恋愛に身も心も入り込んでいたかどうかで変わってくる。
恋愛と呼べるものに軽いも思いもないと思うし、その度に真剣だった。
そんなことを思い出させられた曲だった「ダニーボーイに耳をふさいで」。

郷愁を誘う様な曲調のこの曲。
アイルランド民謡に影響を受けた部分は多用にあるだろうけど、それでもいろんなジャンルの音楽的要素が入りこんでいるように聞こえる。
ロックは行き過ぎだけど、自分の歌いっぷりに酔う様なブルースの様に聞こえる。
甲斐バンドを知り、過去に遡ろうとしたとき、それはアルバムを追っていたのだから、シングルしかなかったこの曲を知り得た当時唯一のベスト『甲斐バンド・ストーリー』は大変有難かった。
そのベストアルバムが無かったら、当分の間知らないままでいたかもしれず、「HERO」のヒットによって作られたようなベストアルバムは、まさしくこうあるべきという様なアルバムだった。

このベストで知った曲は他にもあるけれど、この曲が抜きんでていた感じ。
ボーカルに伸びがあった甲斐バンド終期から甲斐のソロ活動の時期が、最もこの曲に似合っていたように思う。







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