嘘-たわごと

懐かしき甲斐バンド、甲斐よしひろを振り返りながら、時を思う

氷のくちびる

あの頃~氷のくちびる5

「氷のくちびる」

悲しき恋の結末に ぬけがらのように 僕は傷ついた
火遊びの果ての あれは本気の恋
指環ひとつ残し 君は部屋を出ていった

抱かれても ひとつになりはしない心で 君は僕の腕の中に 嘘の涙流してた
あの時君が投げすてた愛のかけら
冷めたベッドに 拾い集めひとり抱けば

今夜も 氷のくちびるが僕を奪い ふたつの体の岸辺に
氷のくちびるが僕を奪い
波のように砕けては散る

悲しき歌の始まりは 追憶の中の夕暮れのカフェ
白い指が灯すキャンドルライト
炎はとけ 心変わりに流れていく

鏡に残したルージュの別れ言葉の影に 男にもたれた あの夜の君の姿があった
一輪ざしの こぼれたバラのように
夢のさめぎわの 仕打ちはむごく

今夜も 氷のくちびるが僕を奪い ふたつの体の岸辺に
氷のくちびるが僕を奪い
波のように砕けては散る

氷のくちびるが僕を奪い ふたつの体の岸辺に
氷のくちびるが僕を奪い
波のように砕けては散る

(作詞作曲:甲斐よしひろ)

リアルタイムで聞いたのではないと思う。
この曲が出たのが1977年だったのだから、その翌年だったのかもしれない。
高校受験に向けての勉強の最中、ラジオの深夜放送で流れてきたこの曲が忘れられない。

ライブでのこの曲のスタートであるドラムのインパクト、そして間奏でツインリードが始まる瞬間がこの曲のすべてだった。
要は曲のインパクトを伝え得るタイミングだったと思うけれど、メロディラインが素晴らしく、詞もしっかりドラマのような世界観を出していた。
ロックを志していた甲斐バンドが、すべてのタイミングがハマった初めての曲だったのかもしれない。
そして聴く側としてもようやくスタート地点に立てた感もあって、1979年の武道館ライブでの演奏は最高だった。







和製ロック~その685


甲斐バンドのライブに行くようになって、その進行上、「氷のくちびる」・「ポップコーンをほばって」の続きのところが最も気分が盛り上がるポイントだと思っていた。
転調とロック、そしてドラマのクライマックスを迎えようとしていたエッセンスが盛り沢山だったからだ。
ここがあって、この後の曲に物語は続いていくということ、そしてこの場面を迎えるまでのその前の道筋が当時としては応えられないものがあった。

ライブは一つのドラマであり、テーマに何を持ってくるのかが大事だったのだろうけど、甲斐バンドのライブはいきなりドラマの中に放り込まれるものと序章がきちんと道筋を辿ったものがあった。
どちらも「氷のくちびる」・「ポップコーンをほばって」のところの如何に持っていくのかという共通点があったけれど、ここを迎えるじらしみたいなものもあったりして充実してた。
いわゆる飽きのこないパターンだったけれど、このつらなりに楔を打ち込むような曲もあった。
1986年の解散を迎えてのライブツアー・Partyでは、覚えている限り武道館ライブだったけれど、「氷のくちびる」のところに「デッドライン」が起用されていた。
「キラー・ストリート」と並んでシンプルisストロングなこの曲は出だしが最高だった。
分かっていてもじわっと来る高揚感は危険な香りのようでもあった。
この曲は逃避行ものだったからだったということもあったかもしれない。
転調際立つドラマを曲にしたような「氷のくちびる」、けど危険な香りのする「デッド・ライン」、どちらも甲乙つけがたかった。
けど。ライブの多い気なポイントして「ポップコーンをほおばって」の前に何を持ってくるのかという意味ではこの2曲以外に見当たらなかった。






和製ロック~その275


いきなりの歌い出しから始まる曲には、覚えてる限り、「氷のくちびる」と「東京の一夜」があった。
スタジオ録音であったアルバム収録曲ではいきなりの歌い出しだったけれど、おそらくライブでは当初から前奏があったんだろうな。
「東京の一夜」は後のビックイベント・BIGGIGで取り上げられたことでいい前奏だったようなきがしたけど、前奏の着け方は以前も同じだった。
それよりも甲斐バンドが解散するまでほとんど欠かさず演奏された「氷のくちびる」は、前奏でのドラムの打ち込み方でその時の演奏が決まってしまうほど、重要だったように思う。
中期からでてきた甲斐バンドの魅力の一つに重層感があったと思うけど、それを感じたのは1979年の武道館ライブでの演奏だった。
ライブでは映えるのに、スタジオ録音では異なって感じてしまうところ、ベスト盤「甲斐バンドストーリー」でその重層感を感じさせるアレンジの曲は収録されていた。

いきなりの歌い出しの曲に前奏を入れることはプロだと認識していたことで、技術ということではなく取り組み方がそうであったという事だったのだろうと思う。
単にテンポがいいということだけではなく、重層感の中にそれを感じさせてくれることもうれしかった。
最初からノリのいいというだけではなく、転調の効いたこの曲で、このイントロがとにかく重要であったことは言うまでもないと思う。






和製ロック~その115


転調こそ物語。
一つの曲に転調を持ち込んだのはそれまでもあったけど、ノリのいいビート感に包まれる曲の多いロックの世界では珍しかったかもしれない。
甲斐バンドを聴く前にフォークの曲を聴くことの多かった自分にとっては、画期的なことでもあった。
テンポも曲調も拍子をとり辛く、曲のノリの難しさを感じた「氷のくちびる」。
シングルとして発表される前から、この曲は実はできていたかもしれない。

「東京の一夜」も前奏がなくいきなり歌い出しから始まり、曲の流れの中で転調を感じたけれど、その意味では「氷のくちびる」の方が意味合いは強かった。
この曲は物語性が高く、それを転調を取り入れることで強調していた。
ツアー一つとっても、どこかにテーマを感じていたけれど、この曲の存在は大きかった。
ライブは本編の終盤は盛り上がりたいものだと思うけれど、それは一つの曲の転調で局面を変えてしまうという意味でも大事なことだったと思ってた。
ビート感は曲一つで作るものでもなく、曲の中の一小節の音の取り方で決まること。
それを同じ曲の中で変えてしまったことに意気込みを感じていた。
ライブにおける盛り上がりはこの曲が正式に発表されたことが大きく、曲調としてのロックを演じる上でかなり重要だった。





スタジオとライブ~氷のくちびる5


甲斐バンド初期にこの曲ができた時、それは「氷のくちびる」~「ポップコーンをほおばって」という黄金の取り合わせが出来上がったということだった
このセットでライブのエンディングを飾る、それを体感していないから、未だにその感覚がよくわからない。
しかし、このセットをどう生かすのか、難で始まり何を挟んで物語を作ってこのセットに持ち込むのかが甲斐バンドのライブだった。
後年、このセットを生かすために、紺のセットの後をどう演じるのかがポイントになっていったけど、そこにこそ甲斐バンドの成長の軌跡があった。
だから余計に、この曲が書かれたことに感心してた。

バラードのような曲調から急転する曲の流れは、甲斐がアマチュアい時代に歌ってた「ポップコーンをほおばって」のようでもあった。
アルバム収録の方はイントロなく、「東京の一夜」のようにいきなり歌いだすことで始まる。
歌謡曲のロックのようでもあったけど、初のベストアルバムとなった『甲斐バンドスーリー』ではイントロがきちんと持ち込まれたものの、アレンジは重い感じになった。
動画はないけど、ライブアルバム『100万㌦ナイト』に収められた演奏が秀逸だと未だに思ってる。
曲の出だしのリードギターとドラムがきちんと重なり合った時、ああこの曲だという気分になるけど、それは滅多にない。
テンポも速くてもいけないけど、遅いともっといけない。
重層感もきちんと盛り込まないとこの曲の魅力は出ず。素人目にも演奏とアレンジは難しそうだと思うよ。
でも、甲斐のギターと故・大森さんのギターの競演、見どころとすればここが最高だったな。





レコードジャケット~氷のくちびる5

氷のくちびる

「氷のくちびる」

この曲はドラマチックな展開の曲だ。
歌詞的にももちろん、曲自体も序盤から中盤・終盤への急な転調はノリ難い曲としたイメージが強かった。
曲のタイトルからして、ドラマチックな曲であることを思わせるタイトルだった。

後に甲斐バンドはハードボイルド路線に傾くことになるけれど、そうしたことと毛色は異なるとはいえ、そうしたエッセンスがしっかり匂う曲でもあった。

そうしたことがレコードジャケットにメンバーが初めて入らないこととなったのかもしれない。
左上にちょこっと乗っかってはいるが、まるでB面に収録された「メモリーグラス」のようなイメージだった。

このシングル曲とアルバム収録曲はライブ演奏をあまり思ってはおらず、曲としての特徴を前面に出していたのかもしれない。
歌謡曲のアレンジも施しつつ、しかしまだハードボイルドということがわかっていなかった彼らが手を付けたのがドラマチックということだったのかもしれない。
初のベストアルバム『甲斐バンドストーリー』に収録された曲とはアレンジがまるで違うのだから。







たわごと~氷のくちびる25

氷のくちびる

氷のくちびる

この曲については以前も書いたけど、想いはズーット以前から変わらないんだよね。
ただ、ベストアルバト『甲斐バンドストーリー』収録の感じでは重すぎ、アルバム『この夜にさよなら』では微妙に軽い感じがするな。
『この夜にさよなら』というアルバム自体曲は、全部が歌謡ロックというアレンジなので軽く感じるのもしかたがないかもしれない。
けれど、前奏なくいきなり歌いだされる感じがお気に入りなんだ。

ライブアルバム『100万ドルナイト』での「氷のくちびる」の演奏が、イメージとしてはピカ1。
イメージ通りのアレンジと演奏だった。
だから、余計にリアルタイムで体験できなかったことが悔しい。
多分、生演奏としては最高の演奏だったということは、後の演奏を体験してきた中でもそう思わせたところが大きい。
甲斐バンドがニューヨーク進出を果たし、スタジオ録音ももちろんだけど、ライブ演奏もかなりに部分で変わっていった。
リアルに体験してた時に感じてなかったことも、時間がたって達観的に思うと感じてくるものがある。
なんだか時間がたつにつれ、生演奏という感じが薄くなっていき、それは甲斐よしひろ第1期でアルバム『chaos』の頃まで続いていた。
そこを超えてやっと生演奏というか楽器の音色を前面に出すようになっていったけど、そうなる前はうまくないにしても演奏者の色と調合具合がうまく絡み合ってた時期があったと思う。
そういうと胃なんだと思うんだよね、ライブアルバム『100万ドルナイト』での「氷のくちびる」は。

今でも大のお気に入りなんだ。

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たわごと~氷のくちびる

氷のくちびる

「氷のくちびる」

甲斐バンドを聴くようになる以前の高校時代、この曲は時に深夜ラジオで流れていた記憶があった。なんというか、物語性がある曲だなと感じて、頭の隅にその思いが残っていた。

甲斐バンドでのライブ演奏は、この曲から「ポップコーンをほおばって」の組み合わせで始まり、後に「翼あるもの」、「漂泊者/アウトロー」という流れになっていったけど、この曲のイントロが奏でられるとライブも本編の架橋に差し掛かったという想いを抱き、それは重要な曲だったと思う。

ライブ演奏は多分ベストアルバム『甲斐バンドストーリー』に収められたものだと思うけれど、それまでライブ演奏してたアレンジを正式にレコードに落としたものがそれだったという感じで、ボクが深夜ラジオで聞いてたのはイントロがなく、いきなり歌い出しで始まるアルバム『この夜にさよなら』のものだったから、それにかなり細かく重層に手を入れた存在感を強めたものとなっていた。

リズムとテンポの取りずらい曲で、演奏に合わせて序盤に手拍子なんかを入れると、曲自体の味わいが無茶苦茶になり、甲斐自身も時にラジオでその点を言ってたね。

個人的には好きな曲であることは確かで、味わい深い物語性のある曲だと思うんだけど、甲斐バンドの数少ない盲点でもあるドラムのパワーが感じられない象徴の様な曲でもあった。ライブ演奏をビデオなりアルバムなりで聴き直してみても、そこがどうしても気になってしまう。

最近のライブで押尾コータローとのジョイントでは、その点が別の意味で解消されたことには、驚くしかなかったね。

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