嘘-たわごと

懐かしき甲斐バンド、甲斐よしひろを振り返りながら、時を思う

大森信和

あの頃~アルバム『REPEAT&FADE』5

アルバム『REPEAT&FADE』
Repeat&Fade

-PROJECTⅠ(N.OMORI)-【DISC 1】

25時の追跡(instrumental)
エコーズ・オブ・ラヴ
JOU JOU KA(ジョジョカ)
ロマン・ホリデー

-PROJECTⅡ(H.MATSUFUJI)-【DISC 2】

O'l Night Long Cruising
サタニック・ウーマン
レイニー・ドライヴ
メガロポリス・ノクターン

-PROJECTⅢ(I.TANAKA)-【DISC 3】

Funky New Year
ジェシー(摩天楼パッション)
Run To Zero
悪魔と踊れ

-PROJECTⅣ(Y.KAI)-【DISC 4】

ハート
オクトーバー・ムーン
天使(エンジェル)
ALL DOWN THE LINE-25時の追跡

正式にオリジナルアルバムとは呼べないかもしれない。
メンバー個々が企画制作した曲を4枚の12インチシングルに集め、総称をアルバム扱いとした企画ものが甲斐バンド最後のアルバムとされた。
発表直後はまさかのアルバム発表で、メンバー個々の力量よりもバンド全体の魅力に引き寄せられていたので、メンバー個々の魅力にまで思いが至らなかった。
解散後のスタイルを個々に表していたという思いは今でもある。
甲斐バンドは俗にいうところのケンカ別れではなかったではなかったけど、甲斐バンドに対するメンバー個々の想いのズレが当時あったのかもしれないと思ったのは最近のこと。
メンバーが4人で始まり、3人となって、最後に4人となったけど、必死に甲斐バンドという称号のもと集まって活動してきたわけだから、こういうアルバムは甲斐バンドが成熟した以上のものになっていたという思いがあった。
技量的にもエンターテイメント的にも、そして魅力的にも他の追随を許さなかったバンドであったのは違いない。
一段ずつ階段を上がって、最後に見せたのが、甲斐バンドに対するメンバー個々の想いだったような気がするけど、それも甲斐バンドがなければ何もなかったに違いない。





あの頃~ALL DOWN THE LINE-25時の追跡5

KAIBAND

「25時の追跡」

ああ 線路にそって 闇夜の中を走り続けてる
かすかな灯り 街ざかいに 続く道を逃げ続けてる
昨夜俺は一人 ドラッグストアおそい 捕らえられた
手錠をかけた奴のすきをつき たたきのめし 車を奪った

ああ 寒気と恐怖 凍てつく体 ひきさいていく
地を這う犬のように 鳴り響くサイレンが闇を追ってくる
奪った車で彼女をひろい ずぶぬれの体 はげしくよせあい
たけり狂うように 挑んでくる 嵐の道を逃げ続けた

いい目見続けた夢のような 時代もあった 運に見はなされ
転がるように すべて失った時 這い上がることに俺は決めた

ああ 厳しい冬が来る 街ざかいのハイウェイまで
今 俺は彼女を抱き 闇夜の追跡 逃げ続けてる

(作詞:甲斐よしひろ、作曲:大森信和)

バンドには逃避行もの3作があった。
その終着点のようなこの曲は、大森さんの曲を聴いた甲斐があっという間に歌詞をつけた曲だった。
逃避行にハードボイルドを見た、そういうことがより鮮明になった曲調と歌詞。
異論はあろうが、甲斐バンド名義のアルバム『REPEAT&FADE』に収録されていてよかったと感じてる。
甲斐バンドは極論すれば甲斐と大森さんで作ったバンドだったから、最後もその二人で終わってほしかった思いがあったんだ。

甲斐バンドの代名詞的曲でなかったけど、バンドの底辺を探れるような曲であり、魅力が十分に込められていた。
1986年当時はそんなことを思っていたな。





あの頃~ロマン・ホリデー4

大森さんのアレンジ力が出た曲だと思った。
こんな力があったのに、なぜ陽の目を見なかったのかなと不思議な気もした。

発売当時は聞き手のこっちが幼かったのか若すぎたのか、はたまたバンドに傾倒し過ぎていたのか、感じていなかった落ち着いた感じが分かってきたような気がする。
作り手の大森さんも若かったけど、年齢の積み重ね方が違ってたような感じ。
大森さんのギターにはその人柄が出ると思ってたけど、アレンジ力が発揮されればそれは曲にも出るんだな。





あの頃~くだけたネオンサイン4

「くだけたネオンサイン」

「ねえあなた さみしい人ね」 いつも君は そうつぶやく
「そうでもないさ」って 僕は タバコに火をつける
ギターを抱え 哀しいメロディー 二人で口ずさむ

「誰の曲なの」 君は目をとじて
くもりガラスに くだけたネオンサイン
「いまにわかるさ」って 僕は 歌いつづける

「ねえあなた さみしい人ね」 いつも君は そう言ってた
君が閉じてしまったノートに 作りかけの歌を書いてみた
二人で買ってきた つぼみのバラだけが
静かに咲いている

「誰の曲なの」 君は僕に聞いたね
雨のしずくに くだけたネオンサイン
気まぐれな僕が 本気でつくった 君の曲さ

(作詞:大森信和・甲斐よしひろ、作曲:大森信和)

幼い頃、何故か物悲しい曲が好きだった。
それもフォークソング。
この曲を聴くといつもそれを思い出す。
1977年と言ったら、自分はそれでもまだ高校生になりたての頃。
特に音楽に興味を持たなかったけれど、聞くとなればフォークソングが多かった思いがあった。
上京して晴れてライブに行けるようになり、甲斐バンドをその時点から遡っていったときにこの曲で、幼少の頃を思い出した。
書き手の大森さんの想いは別のことろにあったのだろうけど、自分の生きてきた短い道のりを反映したような曲調だった。
詞については、詞そのものよりも曲調に同調してたのかな。
甲斐バンドの曲たちの中では稀有な存在だった、そんな想いだった。





あの頃~光と影4

「光と影」

喜びと悲しみは背中合わせに いつも並んで座ってる
君が人気のない電車に揺られ ホームに足をおろす時
いとしい人の温かさを知るように

恋をした時に知ることは 甘いときめきとにがい涙
私を忘れないで君を忘れないよ 朝に光はとどくのに
この影のようなさびしさは なんだろう

喜びと悲しみは背中合わせに いつも並んで座ってる
君が人気のない電車に揺られ ホームに足をおろす時
いとしい人の温かさを知るように

(作詞かいよしひろ、作曲:大森信和)

子供の頃、教えられるラられないを問わず、影の存在を意識したことがあった。
でも、そこにさみしさがあった時が付くまで時間がかかっていた。
この曲は作詞と作曲、どっちが先だったのだろう。
歌詞はもちろん、曲調にしてもしっかり影だけではなく、光も意識していたと聞き取れる。
1975年の当時、光があるから影ができる、とか世のほとんどは闇であり、それは影と結びつくとか気がついてはいなかった。
恋に光は感じるものだけど、それを失いことでその反対の影に気づくのは、恋愛の浮き沈みを体験しないと気づけない。
何も恋に限ったことではなく、短くてもその生きる時間の中での境遇でそれを棄権してしまうこともあるけれど、これはそれまでの甲斐の生きざまによるものだろうなと気づくまで、まだまだ時間はかかった。
もっと旋律を大事にするギタリストが大森さんだったのだなとも思ったものだ。





和製ロック~その374


甲斐バンドの中では、甲斐自身が言ってたように番頭さんはリードギター担当の故・大森さん。
自分が生きるために、そして自分以外のメンバーにきちんと目が行くように、それでないと敢えてバンドを組んだ意味がない。
甲斐の書いた曲でメンバーがプレイし、プレイするために甲斐を注視するところもあっただろう。
松藤とか長岡の場合は、それでいて自分の色を前面に出そうとしていた感が強いところ、今にして思えば故・大森さんは影の立役者だった。
どうプレイし、同意見を言えばこのバンドは生き、地位を確立する方向へ向かうのかと彼の存在がなければ甲斐バンドはなかった。
故・大森さんが自分で歌うこともあったけど、敢えて作曲だけの担当で当時ボロボロだったかもしれない甲斐の生かせ方を考えて作っていたかもしれない曲があった。
「スローなブギにしてくれ」
ロックを言う人はジャンルを問うことなく歌いこなさないといけないと思ったのかもしれない。
この曲がブギだったかどうかが別としても、当時の甲斐の色が十分に出ていた。
ミュージシャンとして衰えることなどなかったこの当時の甲斐は、故・大森さんに支えられ、大森さんも立ち位置を理解していた和製ロックアーティストだった。



スタジオとライブ~25時の追跡5


この動画は「25時の追跡」じゃなく、「midnight chase」のものだけど、いわば「25時の追跡」の発展系。

甲斐バンドというくくりの中でしか知らなかった大森さんのギター。
甲斐バンドが1歩ずつ階段を上がり成長を見せていたように、大森さんのギターもそうだった。
この曲はアルバムとされた『Repeat&Fade』の大森さんのプロジェクトで、この曲だけが甲斐が絡んでいた。
思うに、甲斐バンドが解散した後のメンバー個々への手向けの曲ということで各メンバーが作った曲の一つに甲斐が絡むという形をとっていたと思う。
でも、この曲を初めて聞いたときは衝撃的だった。
聞けば聞くほど、大森さんの味が出てくる、よく言われる哀愁のギター全開だった。

甲斐バンド解散後、ソロでの各メンバーの行動についてはほとんど触れないでいたため、この曲に改めて触れたのも甲斐デビュー35周年記念ライブで、だった。

黒沢フィルムスタジオでのライブで演奏されたことも後に知ったけど、その後ライブでの演奏はどうだったのか興味深いところでもある。

この曲に代表されるように、大森さんのギターは哀愁深い、おそらく個性が出ていたギターだったけど、泣きの音色というよりそれを誘う哀愁の音色だった。
聞いてるとたまらなくなる、それはライブよりもスタジオ録音の方がいいのかもしれない。





スタジオとライブ~週末4



ファーストアルバムを聞いたときは、それほど気に止まらなかった。
エレキギターが曲の間奏に使われていたことがちょっぴり印象的だったことと、当時の演歌とフォークの詞が混在したような曲だったなということだったかな。

何十年も演奏されていないけど、何時だったかこの曲のライブでの演奏がチョイスされたところを聞く機会があった。
曲のサビの部分で、甲斐と故・大森さんがはハモっていたことが印象として残ったんだ。

歌い手としてのセンスはともかく、歌がうまいメンバーは甲斐バンドにはおらず、それでも各メンバーがソロで歌ってみたり、甲斐以外のメンバーが作った曲がアルバムに収録され、甲斐バンドは甲斐だけのバンド出ないことを敢えて強調してように見えた。
故・大森さんの哀愁のギターは、後にわかったことで場数が必要だったかもしれない。
もともと持っていたそうした方面の技量は人柄から来てたかもしれないけど、なかなか表立つことではなかったと思う。
その故・大森さんが唄ったのは「アップルパイ」だけとなったけど、歌うことに関しては、、、という事だったかもしれない。

そんな中で、この曲で甲斐とハモっていたのはすごく貴重なことだった。
エレキギターの音色はもちろん、このハモりがとにかく印象的だった。





もう一つの主役~くだけたネオンサイン (LIVE Version)3

「くだけたネオンサイン (LIVE Version)」

メロディ、言葉の紡ぎ方、言葉数等々、甲斐では書けない曲。
故・大森さんの作ったこの曲、甲斐バンドの本流とは別の枠にあったこの曲。
決してライブ向けの曲ではないし、たどたどしいライブ模様がその当時の甲斐バンドの一つの味だった。

甲斐が書く曲にしても、この曲にしても当時甲斐バンドを物語る曲がイメージとしてあったことは長らく消えなかった。
ロックというテリトリーがまだなかった時代。
アンダーなフォークでありながら、その旋律はフォークと言ってしまうには違和感があった。
甲斐バンドも幼かったけど、こっちも幼くて、その違和感がなんなのか、気づくには時間がかかった。
そういうことを思い起こさせてくれる曲だったけど、この違和感には捕らわれていたな。





たわごと~STARS5

「STARS 」

この曲を聞いたり、触れたりすると、故・大森さんを思い出す。
この曲が収録されたアルバム『夏の轍』が発表された2001年当時は、思いもしなかったけど、後になって追いかけてみると大森さんの体調がよくなく、安定してなかったことを知った。
1986年の甲斐バンド解散時も大森さんの耳の不調から来るものだったけど、一般に知られていたこの不調も根が深かったかもしれない。
アルバム『夏の轍』発表の3年後の大森さんの訃報はまさかという感じだった。

甲斐バンドは甲斐よしひろバンドではなかったのは、バンド時代にバンドに触れていた者なら感じていなければいけないこと。
もちろん、矢面に立っていたのは甲斐だけど、持ち手が放してしまうとどこへ行くのかわからない風船のようでないようにした意味での大森さんの存在は大きかったし、ありがたかった。
大森さん亡き後の甲斐の活動を見てれば、それはわかること。

やっぱり、そういうバンドだったからメンバー各個が運命共同体だったと思うし、甲斐の各メンバーへの意識は相当高かったはず。
2001年当時、もう大森さんの不調は手の施しようがなかったかもしれない。
そういうことを察知して、甲斐はこの曲を書いたのかもしれない。

アルバム『夏の轍』自体が、実は故・大森さんへ向けてのアルバムだったかもしれないのは、その後ライブでは演奏されていないことに表れているのかもしれないな。


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