レイニードライヴ

「レイニードライヴ」

個人的な想いだけど、「ナイト・ウェイブ」で始まった波の流れは「ラブマイナスゼロ」につながっていったけど、その先に、もう一つの流れの帰結点があった。
それが「レイニードライヴ」だった。

大学の卒業旅行が終わろうとし、福岡で新幹線に乗り込み、シートに身を沈めて新聞に目をやった時、「甲斐バンド解散」の見出しに思わず目が行った。
やっぱりなという想いとまさかという想いがクロスしたまま、東京に戻ってきた。
大学卒業は目の前だったけど、会社勤めが始まるまでまだ1か月近く時間があった。
ともかく参戦できるライブには行こうと思ったけど、解散ライブが始まるのは3月中旬以降で、もちろん遠征などは出来なかった。
参戦できるライブがごくわずかだと分かったけど、どうしようもない。でも仕方がない。
で、取りつかれたように聞き込んでいたのが、当時の最新アルバム『REPEAT&FADE』。
解散発表の模様も徐々に明らかになったけど、興味を持ちつつも当時はそれを伝えるメディアには伝える道具がほとんどなかった。
しかし、思いは募るばかり。
最後のシングルになるはずだった「レイニードライヴ」は、発表前に解散ライブは真夏の花火のように・・・という甲斐の言葉に変に影響され、タイトルにドライブとあったものだから、ドライブ感のあるアップテンポの曲を想像していた。
それがバラード調だったことに、落ち込みはしなかったけど、驚いた記憶があったね。

こういう曲も書けるんだと当初は思ったけど、作詞は別人。
バンドの最後のシングル曲になるかもしれない曲をバンド以外の人の手に委ねたことに、呆気にとられた想いといかにも甲斐らしいという想いが交錯していた。

曲の端々に、何事かの終りを思わせる詞があって、この曲も希少価値を持たせてほしかった。
往年の甲斐バンド解散の象徴のような一曲。
一人で一人の世界に入りたいとき、或いは大事な人と一つの世界を作りたいときに聞きたくなる。
それは、「ナイト・ウェイブ」から「ラブマイナスゼロ」の流れの中で見つけた一つの答えでもあった。

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