嘘-たわごと

懐かしき甲斐バンド、甲斐よしひろを振り返りながら、時を思う

きんぽうげ

あの頃~きんぽうげ5

「きんぽうげ」

あなたに抱かれるのは 今夜かぎりね
淋しすぎるよそんなセリフ 似合いはしない
はずれた胸のボタン 指ではじきながら
おまえは静かに部屋の あかり消した

暗闇の中 抱きしめても
おまえの心は 逃げてく

嫌いになったら いつでも別れてあげる
口で言うほど冷たい 女(ひと)じゃないくせに
こぼれたテーブルの酒 指でたどって
口ぐせのようにおまえは 何度もつぶやく

暗闇の中 抱きしめても
おまえの心は 逃げてく

暗闇の中 抱きしめても
おまえの心は 逃げてく

ひび割れたガラス窓 街の色が
つまずいた昨日を 悲しく染めてた

(作詞:長岡和弘、作曲:松藤英男)

酒を飲む機会と量、そして種類が増えるにつれ、酒にまつわる曲と大人び始めた感じが曲の中に入ってきた。
この曲は恋人との別れを不意にテーブルにこぼれた酒やガラス窓の向こう側に見るような情景を詞に落とし込んだ曲だけど、酒が飲めるようにならないと書けない曲でもあった。
個人的な志向もあって、こういう詞の紡ぎ方は甲斐にはできず、長岡ならではだった。
四畳半フォークから出てきて外を見るようになった大人になりつつあった少年が、酒を通して一つのドラマみたいなものを書き上げたのが1977年だった。
この曲にロックのビートを見たのかもしれず、当時のライブ演奏は答えられないほど魅力的だった。
曲を生かすもなにもアレンジをどうするかによるけれど、イントロのギターが印象的にしてた時期が好きだった。
ギターもかきならすプレーヤーの個性によって様々な情景が出るのだろうけど、やっぱり甲斐バンドが演奏して歌って一つの世界を作っていた時期がこの曲を生かす最高の時だったように思う。
それでもこの曲は曲の中でしっかり詞が浮き出る珍しい曲だったのかもしれない。






和製ロック~その135


甲斐はよくロック詩人でありたいと言っていたことがあった。
これはとりもなおさず、思い描いた演奏ができておらず、作詞の方に目が言っていたことを現していたと思う。
でも、出てくる曲は妥協してなくてもどこか郷愁を誘う部分があって、甲斐自身が書いた曲でそれを感じさせるには、一つの曲ではなく、一枚のアルバム全編をよく聞いてないと分からないところが多かった。
一つの曲でそれを感じたのは、甲斐が書いた曲ではなく、ベースの長岡とドラムの松藤が書いたこの曲であったことは意外だった。

この曲とは「きんぽうげ」。

イントロのギターが印象的だったのは、特にリード担当だった大森さんの技術向上を図るものであり、演奏テクニックに本格的に踏み込もうとした甲斐の心模様が表れていたのかもしれない。
アルバム収録のこの曲がおとなしめなのは、当時まだ技術が思いに辿り着いていなかった。
ライブで生きるのは、それが徐々に向上していった証であることは、後の甲斐バンドが解散し、他のプレーヤーと組んで甲斐が歌うこの曲が素晴らしかったことに現れている。
演奏技術は最後まで上り詰めることはできなかったけど、解散時と発表したてのこの曲には雲泥の差があtったけど、それもこの時アレンジも同様、演奏技術にも心意気を持ち込もうとした証だったような気がする。





スタジオとライブ~きんぽうげ5


BIGGIGでのアンコール1発目が、この曲だった。
ギターワークで始まってたこの頃、故・大森さんが主役で始まったようなもので、自分はこの時のライブ演奏がこの曲の始まりだった。

「きんぽうげ」はライブでの演奏ばかり意識して、アルバム収録のこの曲までたどり着くまで結構時間がかかったんだ。
ライブ演奏との乖離が大きすぎて、スタジオ録音のこの曲を知った時は結構ショックだったな。

甲斐バンド中期と終期以降は、ギターで始まってほしかったこの曲の出だしに様々な工夫が加えられ、今ではそれが当たり前のようになってしまった。
あの印象的なギターで始まるのだから、ライブではオープニングを飾り、時にはアンコールの出だしに使われていたのだと思うんだけどな。
甲斐バンドも中盤以降は「ブライトン・ロック」にオープニングの座を譲ってたけど、「ブライトンロック」にしてもイントロのギターは印象的だった。
この曲はそれだけにギタリストの個性が出ていたのかもしれないな。
故・大森さんのギターじゃなければこの曲はあり得ないなと思ってた甲斐バンド時代。
KAIFIVE時代のヤッチのギターも鳥肌ものだったし、土屋公平のギターもよく個性が出ていて、存在感があったと思うよ。








もう一つの主役~きんぽうげ5


「きんぽうげ」

当時の甲斐バンドのベーシスト・長岡が書いた曲が初めてシングル化されていた。
「そばかすの天使」のB面だったけど、イントロのギターの入りに相当な技術が必要だったという割にはアレンジがとにかくシンプルで、ライブアレンジするにはこれ以上なかった曲かもしれない。
甲斐バンドをはじめとして、甲斐ソロ、KAIFIVEでも十分魅力あふれる曲となっていた。

ドラムの打ち込み、蹴り込み、そしてギターワークが際立つ名曲で、立派な主役の曲だった。

この曲でライブが始まるか、「ブライトン・ロック」で始まるか、大いに話題になった時代もあった。
ライブを盛り上げる曲としてはこの上ない曲で、そのくせ、切なさ郷愁も十分だった。






たわごと~きんぽうげ5

きんぽうげ①

「きんぽうげ」

♪ 暗闇の中 抱きしめても お前の心は逃げてく ♪
男から見た離れていく女の感情なんて甲斐には書けない世界だな、と思ってたら、この曲を書いたのはベースの長岡だったということがあった。
長岡の書く世界の曲って少なく、独特のものがありながらパッとしないイメージもあったけど、「きんぽうげ」は別だった。
ただ男が女に触れて感じたことを、、、ということかもしれないけど、独特の繊細さがあって味があって。
ここにメロディをつけたのは松藤だったけど、ドラムはともかくメロディは絶妙のものがある。
「きんぽうげ」のアルバム収録のものは原曲であって、いくらでも応用が利くと言うものじゃなかっただろうか。
おとなしめの曲の出だしは、ギターの入りが印象的であった。
ギタリストの腕の見せ所だろうと思うけど、その証拠に大森さんや田中一郎、甲斐ソロ第1期の北島、KAIFIVEの田中ヤッチ、ソロ第2期での鎌田ジョージ。
すべて曲の出だしで各ギタリストの特徴が出て、曲の全てを彩っていく。
甲斐バンドの曲でありながら、どの状況でもギタリストの腕次第で様々な世界が描かれて行くのが嬉しい曲でもある。

それもメロディありきではなく、詞の作り出す世界が若干ダーティで独特なものがあるからメロディが生きていくといった感じで、これはもう立派な名曲だと思う。

甲斐バンドではライブオープニングで使われることが多かったみたいけど、アンコールにおける最初の曲という位置づけもあった。
ギタリストの腕の見せ所を居いきなり見せつけるという効果を狙ったかもしれないけど、それは当時情緒あふれる世界に特徴のあった甲斐バンドならではの曲であったということになるだろうと思う。

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たわごと~きんぽうげ5

きんぽうげ

「きんぽうげ」

ボクがライブに行くようになった頃は、すでにライブ・オープニングは「ブライトン・ロック」になっていた。
聞き込み、遡ってみると、甲斐バンドの初期中期のオープニングナンバーは「きんぽうげ」であることを知った。
ライブアルバムで聴いてみてもピンとこない。
何故この曲がオープニングなのか・・・この曲は出だしのギターがものをいう曲であって、そこで引き込まれそうになる要素を持っていたこと気づくのはズッと後だった。
それでも、ライブには欠かせない曲で、アンコールの出だしとか一つの区切りの場面での演奏が奏効していたように思えた。

「きんぽうげ」は出だしのギター演奏が最大の魅力。
曲そのものの郷愁に満ちた感じも見逃せないことだけど、音楽に全くの素人であっても出だしのギターには曲そのものの魅力があることが、演奏を困難にしていたように思う。
甲斐バンドでは当然に大森さんの役目であり、大森さんのギターワークの特徴はここで作り上げられていたように思ってる。
元々が哀愁漂うギタリストであった大森さんが、郷愁を誘うこの曲でより魅力的になっていった。
後期甲斐バンドでは、一郎が役目を担うことが多くなったけど、これはギタリストの育成ということではなく、ギタリストの特徴を曲に生かし、曲の持つ世界を別のものにして意味合いを変えようとしていたかもしれない。
後にKAIFIVEライブで演奏されていたけど、ヤッチだったか土屋公平だったか記憶にないものの、ギター演奏に一家言あって行動が伴っている者に似合う曲に変貌していた。

個人的にはこのKAIFIVEライブでの演奏やBIGGIGでの大森さんの演奏が応えられない。
甲斐バンド後期や今のライブでも、出だしのギターの前にドラム等でリズムを刻むアレンジになってるけど、これはトリッキーな演奏であって曲を生かすものではない。
一時は、この曲を聴きたくてライブに通ってた時があったから、尚更惜しいことだと感じている。

ライブ・オープニングが「きんぽうげ」か「ブライトン・ロック」なのかということは聴き手の好みであり、甲乙つけ難いはずで、良し悪しはつけられない。
きんぽうげという草花は可憐できれいなものだけど、その身には毒素が含まれている草花であり、この辺りがなんとも甲斐バンドらしいと思える。





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