裏切りの街角


甲斐バンドセカンドシングルが「裏切りの街角」だった。

この曲が出た当時、ボクはまだ中二で、音楽業界とか芸能界とかそういうところにはほとんど興味がなかった。
たまの休みの日中、昼飯を終えてなんとなくTVを見ていたら、顎をしゃくるよに白いシャツ来て、懸命に歌ってたグループが目についた。
アイドル音楽番組だったと思うけど、当時は雑多な音楽と今でいうバラエティ番組が多かった。
ほとんどが、歌謡曲とフォーク、そして演歌の歌手たち。
そうした番組で初めて甲斐バンドを見た。
いや、甲斐バンドとは知らずに見ていて、何故か今でもその当時の模様は脳裏に残っている。

その時歌われていたのが「裏切りの街角」。
そのスタイルはフォークのようで歌謡曲ではない、だけどはっきりフォークといってしまうには違うような感覚を持っていた。
どこか演歌みたいだな、というのが素直な感想だった。

彼らは彼らなりに必死な状況だったんだろうな。
それは甲斐バンドと知らずに見ていても感じるものがあった。
甲斐バンドが甲斐バンド足りえた初めての曲、それが「裏切りの街角」だったんだろう。

シングルが発表されていきなりという展開ではなく、オリコンでベスト10入りするまで4か月もかかっていた。
最高位7位だったかな。
優先で売れていたとは聞いていたけど、結構なロングセラーとなっていた。

デビューは自分たちのスタイルが出ていなかった。
そこから「裏切りの街角」にくるまでは、長いトンネルの中でようやくその扉を開けた、そんなイメージがレコードジャケットとして現れていたような気がしてる。