レッドスター

「レッド・スター」

自分たちの音楽を聴いてくれる人。興味を持ってくれる人を増やす、、、それにはどんなところでも演るというスタンスは、バンド時代のものだった。
それは状況の応じて変化していったものの、根本的なところは変わらずという塩梅だったと思う。
そうした活動の中で作られる曲には、ワンフレーズがメッセージとなることはそうしたモノを作ろうとして出来るものと意図しなかったのにそうなったというものがあったと思う。
それはメッセージということ。
おおいなる愛の賛歌ということでは「破れたハートを売り物に」がそうだったけれど、曲そのものがメッセージのようになっている珍しい曲で、これはバンドの象徴の様な曲でもあった。

バンドがあってソロがあるというスタイルは、この頃はまだなく、それを試みてもいた。
しかし、バンドが事情でなくなってしまい、ソロ1本で行かなければならないということになって、それまでのスタンスとは異なった路線に出ようとしていた。
聞き手はバンドを引きづる、やり手は違う局面へ行こうとするという状況においてファーストアルバム『ストレート・ライフ』は前者を踏襲するようなものになっていたけど、それとは違う局面を見せてくれたのがセカンドアルバム『Chaos』で、これが実質ソロのファーストアルバムだと思う。
この時点では聴き手に刺激を与えたり、聞いてくれる者を増やすということではなく、自分はこういう局面を演じるんだというスタンスであったように思えた。
「レッド・スター」もそんな曲の一つ。
この頃は世紀末を迎えようとしていた頃で、次の舞台がどんなものであるのかについては悲観的な向きがおおかったようだ。

世の中は乱れていた。
何が正しくてどういう方面へ行けばいいのか、それが分からず混乱していた。
そういう背面の風景を物語ったのがセカンドアルバム『Chaos』であり、より象徴的だったのが「レッド・スター」だった。
世間の現状を歌詞に置き換えて憂う、そんな曲だったと思うけれど、人はそういう混乱的な状況は認めようとしないから、注目されるまでは行かなかったけれど、個人的には注目していた。

‟割れたビンを世界中が 今踏みつけている”

ここに世間を見通す力が象徴されている。
実に見事な歌詞であり、その状況は今も変わらず、世間というか地球は混乱してる。

こういう曲を歌えるような演奏とボーカルであって欲しいというのが願いなんだけれどね。