「冷たい愛情」
難しい曲だと思う。
ライブを重たい雰囲気で終わる為に「100万$ナイト」が書かれて、大きな効果があげられていた。
次に、、、という訳ではなかったんだろうけど、世上の中の雰囲気と憤りに重さを求めた曲から自分の生い立ちの名に重さを求めた違いがそこにはあった。
甲斐の生い立ちなんて、今現在は明らかになってることもあるけれど、「冷たい愛情」が出た頃なんて知る由もなかった。
人に知られていいことじゃないし、分からないから曲とライブで想像を掻き立てられることも多かった。
甲斐バンドとは、その活動で様々な思いが掻き立てられることが大きな魅力でもあった。
再婚に際して思うこと、自分の生い立ちに想いを馳せることなど、そこには軽々しく表現されるようなことはなかった。
曲の歌詞、一つ一つに重みがある、そんな曲だったし、ギタリスト大森信和の魅力が大きく舞台に挙げられた曲でもあった。
♪ ある晩 おふくろが俺に言った お前が生まれた時は 空は満天の星 ♪
と
♪ そして今夜 俺が この地上に生を 受けた時のような 満点の星空 ♪
このコントラスト、表現が素晴らしい。
ここに灯を当て、でも油断することなく前に出ていこうとするバンドの姿が見えはしないだろうか。
落ち込みたくなる要素も盛り込まれ、でも肝はこのフレーズにあった。
それを感情を込めた姿にしたのは、大森信和のギターワークだった。