シーズン
「シーズン」

初めてのライブは、予備知識などなかったから演奏される曲のほとんどを知らず、環境と合うかどうかと印象的なことがなければ、曲のことなど分からなかった。
わずかに知ってる曲はあったものの、そのステージングに驚かされるばかりの中、この曲はどこかで聞いたことがある・・・そんな思いを抱いた曲の一つが「シーズン」だった。

この曲はアルバム『GOLD』の先行シングルだったけど、それよりもサントリーの「トロピカルカクテル」ブルーハワイのCMに起用されてた曲で、よくTVで流されていた。
甲斐バンドをほとんど知らない頃、曲調のきれいなこの曲が甲斐バンドの曲だったなんて結構驚かされたものだ。
甲斐バンドのイメージって、不愛想で無骨、それでいて郷愁を誘う様なイメージがあって・・・というところだと思うけど、この曲のイメージはその対極にあって、波打ち際でロマンスに戯れるカップルといったところだろうか。
少なくとも、この曲だけで甲斐バンドはイメージできなかった。
しかも、甲斐のボーカルが意外とそんな曲のイメージにマッチしていたことが不思議で仕方がなく、甲斐バンドの曲と知ってからもしばらくはそんな感じだった。

BIG GIGでの演奏は、曲の出だしでカーンカーンと何かの楽器の金属音が高めに鳴り響いて演奏が始まっていた。
後のライブも、いや今でもそうかもしれない。
けど、この曲はライブ映えはしない。
甲斐バンドがニューヨーク3部作を作り上げ、音が飛躍的によくなったことと同時に曲によってはスタジオ録音の方が圧倒的によいという曲が出てきたのもこの頃だと思う。
アルバムを聴くと拙くアレンジで何とか支えられていた曲がライブとなると一転する傾向が逆転するというのは、ニューヨークでのミックス作業という新たな行為で何かを失ったのかもしれないし、進化の過程だったのかもしれない。

「シーズン」は動画も面白かった記憶が新鮮さを覚えるよ。