東京の冷たい壁にもたれて
「東京の冷たい壁にもたれて」

甲斐バンドを体験し、貪るように過去のアルバムを遡って聞いた時、アルバム『英雄と悪漢』まで行き着いた。
もちろん、お目当ての「ポップコーンをほおばって」のスタジオ録音のものに興味があったわけだけど、それとは別にとにかく気になったのが、「東京の冷たい壁にもたれて」だった。

その何年か前に大学受験で上京した時、東京という場所の奥深さと広さを感じて、初め街が怖いと感じてた。
田舎者ということもあったし、状況したときは浪人していて、自分のアパートと予備校の往復ではあったけれど、得体のしれないところだということは感じてて新宿から南の方には行けなかった。
まあ、浪人だから遊ぶなんてもってのほかではあったけれど、それでも暗闇に引き込まれそうな感じはあった。
甲斐は多分、この曲は上京してから書いた曲なんだろうと思う。
デビュー前は福岡に致し、コンテストで一時的に東京に出てきたことはあったにせよ、それだけでこの曲は書けなかっただろうと思うからだ。
状況前の恋人がモチーフなんて言われてる向きもあるけれどm¥、歌詞を読んでるとどこか違うものを感じる。
甲斐バンドとは・・・というイメージにようなものを懸命に表現するため、甲斐の頭の中で描かれた東京という印象と思い、そこに恋愛のエッセンスを巻き込んでワールドを作り上げた、という感じかな。
まったく無縁ではないだろうけど、まだ二十歳にもならないこ怖いもの知らずの男が、これまた幼い恋人に向けてこんな詩が書けるというイメージがない。
しかし、上京して自分の姿を曲を書こうとしたとき、東京という街の冷たさ、高さ、厚さみたいなものはいい具合に表現されている。

1984年の武道館公演だったかな、初めてライブで体験したのは。
これも東京に馴染んで都会化してしまった甲斐バンドは、実はこんなところに原点の一つがあったんだという感じがして、記憶に残っている。