ゆきずりの風

「ゆきずりの風」

この曲が、アルバムの最期に収録されているのは最もな位置に置かれてるということからも、曲自体が誰かに向けて歌われているのではなく、甲斐よしひろという書き手に向けられているということになるだろうと思う。
アルバム『ガラスの動物園』自体が、当時の彼女に向けて作られているのなら、もう一人の主人公は甲斐そのものだから、当然の帰結だったのかもしれない。

詞を読んでると、詩の世界のようで物悲しく、どこか頼りない。
けれど、未練タラタラながら一歩踏み出そうとしている姿が見て取れる。
最後のサビを構成するメロディと歌われ方でなんとなく落ち着いていくのだけれど、この手の曲にしては珍しく余韻を感じていたいという曲。

フォークあがりのアーティストには必ずこの手の曲があるけれど、甲斐に関してはこの曲かと思いきや、、後年また別世界を織りなしながら2,3曲出てくるところが言ってみれば面白い。