「昨日のように」

「ポップコーンをほおばって」と同時期、甲斐よしひろがまだ17歳の頃に書かれたこの曲。
甲斐のそれまでの歩み、しかもその歳まで描かれてしまった生い立ちが凝縮され、男女の恋愛というか一方的におもちゃにされてしまった女に置き換えて書かれている。

確か、甲斐が幼い頃、父親の夜逃げがあって、、、ということがあったと思う。
甲斐の音楽の原点や想いというのはこの父親によってもたらされたところが大きく、いろんなジャンルの様々な曲を聞いてきたのも、父親の作っていた環境が大きく影響している。
その中での夜逃げという事態。
巻き込まれた家族は、ピンとこず、その後の事態の展開によって夜逃げという事態の大きさと様々な思いが渦巻いてくる。
自分も夜逃げ体験者だから、そうした甲斐の状況に思うところはあるけれど、そこに溢れ返るような音楽という世界が広がっていたから救いがあったように思えた。

一言で言えば身体も心もおもちゃにされた女がいて、おもちゃにされながらも事態を別の目で見つめることが出来、しかし逃げようがない状況が作っていく心情を曲にしたためたと思うけど、若干17歳にしてこういう詞が書けるのは驚き。
実に良く書けていて、プロデビュー2年目の時期まででないと曲として発表できなかった背景があったかもしれない。
この曲がお気に入りとか好きだとか言う人は、紋切り型の詞の構成と曲のアレンジに気がいっていて、実はこの曲で歌われている詞の向こう側に隠れていることを理解してはいないと思う。
理解しようもないけれど。